大切な行動原則

 守秘義務の関係で詳細を綴ることができないのですが、先日、当方が関与させていただいた新規の許可申請で、とても嬉しいことがありました。

 ある関与先企業様から、「新しい事業を考えている企業様がいるので紹介したい」としてご紹介を受けたのが、約2年前のこと。お考えの新たな事業の内容をお伺いし、必要となる許可についてお伝えさせていただくことからお付き合いを始めさせていただきました。
関係者が多岐に渡り、大きな投資を伴うプロジェクトで気を付けなければいけないことながらありがちなのは、『タスクの取りこぼし』。『いつ』『誰が』『どうするか』全体のスケジュールを引きつつ、浮いたタスクややり残しが無いよう、関係する事業者様と協力しながら、プロジェクトを進めてきました。

 そうして順調にプロジェクトは進み、我々が行う許可の申請も予定通り完了。あとは関係する事業者様から入手する公的書類を追加提出すれば、予定どおり許可を得て事業開始、というところでした。

 ところがなんと、事業開始予定日の直前で、この書類が日程通り入手できないことが判明!担当の事業者様もしっかり対応いただいていたのですが、従来より複雑な内容となってしまった為、当初予定の日程に書類が間に合わないとのこと…。この書類が提出できなければ、その分許可の日付は先送りとなってしまい、その分だけ事業の開始が遅くなってしまいます。我々が作成する書類ならば徹夜してでも間に合わせれば済む話なのですが、そういう書類でも無かったため、もはや書類入手の遅延を挽回することは不可能でした。

 こうした状況をご依頼主である企業様はご理解くださり、事業開始の遅れもやむなしと考えて下さったものの、『何とかならないでしょうか…?』との声…。我々も事業者ですから、事業開始の遅れが経営にもたらすインパクトは容易に想像できます。『そうは言っても、難しいよな…』と思っていたのですが、本件を担当してくれた職員が見事に対応してくれました。

 「求めている書面で行政庁は何を確認したいか?」という問いかけから始まり、確認すべき事項が補足できる代替書面の提案、事業開始の遅れがもたらすインパクトなど、様々な情報をもって、行政庁の担当者と粘り強く交渉を実施してくれました。しかも、こうした難しい交渉にありながら、強い口調で相手に迫ってしまうこともなく、むしろ、担当者も味方にしてしまうような、柔らかで丁寧な話しぶりでした。結果、複数の代案を重ねる形で予定通りの日程で許可が得られることとなり、ご依頼主の企業様は本当に喜んでくださりました。また、当初予定していた書面を担当していた事業者様からは、何度も何度も、大きく深く感謝していただきました。

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 私たちの仕事は、『関与先企業様に代わって許可の要件を満たす書類を作成し、行政庁の許可を得ること』です。許可の要件とは法令を元に構成されている為、場合によっては解釈の余地は無く、『何とかならないの?』とご相談いただいても、『ダメなものはダメ』、と断らざるを得ない場面があります。

 しかしながら、我々の業務の本質は、この断りの前に、関与先企業様の立場に立って『本当に何とかならないのか?』と問い直すことにあると思います。今回のように、通常考えれば難しいことであったとしてもそこで諦めるのではなく、『何か方法が無いか?』『何とかならないか?』と考え、行動してくれる職員がいるということが、本当に嬉しく、また、頼もしく感じました。そして勿論、ご依頼主様にとってベストな結果をもたらせたことが、とても嬉しい!もっと多くの『ベストな結果』を求めて、また皆で頑張ろう!と思った冬のはじめでした。

岸本一輝

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