「歩く」ことは病気を予防する! 世界が注目する「中之条研究」
「歩くことは健康にいい」という漠然としたイメージはあっても、
具体的にどのような健康効果があるのでしょうか?
たとえ万歩計を毎日持ち歩いたとしても、いったいどのくらいの距離を歩けば効果があるのかよくわかりません。
そこで現在、注目されているのが世界中の足病医が注目している「中之条研究」です。
日本初の足の総合病院下北沢病院院長著書「100歳まで スタスタ歩ける 足のつくり方」を購読したことで、生活習慣を予防し、健康寿命まで延ばすとして世界から注目を集め「中之条の奇跡」とまで呼ばれている「中之条研究」の成果を知りました。
「歩く」ことは病気を予防する! 世界が注目する「中之条研究」とは、
群馬県の北西部に位置する人口約1万5000人の中之条町で、東京都健康長寿医療センター研究所が中之条町役場保険環境課の協力を得て、2000年から実施されたモニタリング研究のことです。(現在も継続中です)
中之条町で暮らしている65歳以上の住民およそ5000人を対象に、日頃の運動の頻度や生活習慣、睡眠時間、食生活など、健康に関する詳細な調査が15年以上にわたって行われています。さらにこの調査では、被験者5000人のうち、2000人に対しては血液検査や遺伝子解析を実施し、さらに詳しく健康状態を調査。そのうち500人には身体活動計(歩数と早歩き時間を計測)を携帯してもらい、毎日の歩数とそのスピードを365日にわたって記録しています。
世界でも類を見ないこの詳細な研究により、どのような運動をどのくらい行えば健康維持に役立つのかが、具体的に突き止められたのです。
単に歩く(歩数)だけでは十分でなく、歩く質(強度)も重要であり、
健康を維持・増進するためには、1日平均8000歩以上歩くことが理想的
ただ8000歩くだけでなく、早歩きなど中強度の活動が20分以上ふくまれていれば、さらにさまざまな病気に対する予防効果が得られるのです。
1日2000歩の歩行量を維持するだけでも、筋肉のおとろえを防ぐことができ、結果として寝たきりになるリスクを軽減。
1日4000歩(早歩き時間5分)では、運動による血流促進はもちろん、風景や環境の変化が脳にあたえる刺激がリフレッシュ効果を生み、うつ病予防の効果。運動によって血流が上がると、記憶を司る「海馬」という部位が大きく発達し、認知機能が向上するほか、手足を規則正しくふって歩くリズムが、さらに脳内でセロトニンという精神を安定させる物質を分泌。散歩をしていて「気持ちいい」と感じるのは、このセロトニンが分泌されている証拠なのです。
1日5000歩(早歩き時間7.5分)では、要支援・要介護予防。1人でご飯が食べられる、お風呂に入れるなどの生活機能全般の維持。そして、認知症の予防。歩くことで脳に十分な血液が流れ込み、働きを維持。脳の血流を維持することは、実は非常に大切なことなのです。なぜなら、脳の神経細胞は血流不足に敏感で、一度失ってしまうと二度と再生しない性質があるからです。定期的な運動をするのが困難な高齢者が、寝たきりになると一気に認知症が進むケースがよく見られるのは、まさにここに理由があるようです。
「脳の機能を維持するためには、少々気分がふさぎこんでいるからといって引きこもってはいけない」「認知機能のおとろえを感じて不安になったりしたときは、天気のいい日を選んで散歩に出掛ける」ことが大切。
1日7000歩(早歩き時間15分)では、血流が維持されることによって血管が鍛えられ、ガンや動脈硬化に対する予防効果。さらに、骨も鍛えられるため、骨粗しょう症や骨折を防ぐ効果。
1日8000歩(早歩き時間20分)では、高血圧症や糖尿病、脂質異常症の予防にまで効果がおよぶと、中之条研究では結論づけられています。
「中之条研究」の成果を皆さんに知っていただくことにより、
より効果的なウォーキングを続けていただけたら幸いです。
そして、歩くためにもっとも大切な足。
体のなかで、足はもっとも酷使されている部位であり、歩くときは体重の2~3倍、走るときは約5倍。適切なケアを行わなければ、足はその機能をどんどん失ってしまうことになるそうです。アメリカではヒザから下に不調を感じたときは「足病医」という専門医の診断を受けるのが普通のことだそうです。捻挫などの外傷はもちろん、外反母趾の手術からインソールのオーダーメイドまで、足に精通した「足病医」がすべて手掛けているのです。アメリカに比べ30年遅れている日本の足病医学。日本の足病医学の進歩によって、多くの方の足の健康が守られるようになることを切に願っています。
アスカ総合事務所 原田