2023年7月「白銀比」
悠久の時の流れを超えて、五重塔が凛として天を仰いでいる。1400年もの間、その美しさを人々は畏敬の思いで見上げてきた。古都には美しい建造物が多い。そんなことを家人に言うと、「白銀比だね」と言う。白銀比?ハクギンヒ?この歳になっても知らないことばかりである。どうやら黄金比と同様のバランス比率らしい。
黄金比(1:1.618)は、美しいと人が感じるバランスの比率であること。この黄金比は、奈良の唐招提寺金堂や京都の金閣寺で知っていたが、今回は「白銀比」である。聞けば、これもまた美しいと人が感じるバランスの比率であるという。比率は、1:1.414である。
法隆寺の金堂や五重塔、京都の銀閣寺、伊勢神宮等々、多くの建造物で白銀比が用いられているとのこと。古都だけではなく東京のスカイツリーも白銀比でデザインされているという。建築やデザインを生業としている方々には、当たり前の比率らしい。
白銀比は、古代より「神の比」として宮大工も用いていたことから、「大和比」とも呼ばれている。
早速、以前に奈良は斑鳩の里で撮ってきた法隆寺の五重塔の一層目の屋根の長さと五層目の屋根の長さを見比べてみると、やはり白銀比となっている。
このブログは、建築設計士や建設会社の方々もご覧になっている。どこからか「岸本さん!そんなことも知らなかったの?ボーっと生きてんじゃねーよ!」という声が聞こえて来そうである。恥ずかしながら白銀比については、全く知らなかった。
身の回りにも白銀比はいくらでもある。我々が毎日使っている紙、A版・B版の紙も白銀比であり、官製はがきも白銀比でできている。ドラえもんやスヌーピー、ちびまる子ちゃんなどのキャラクターも背の高さ・横幅が白銀比でデザインされている。
金メダル・銀メダル・銅メダルとあるからには”銅”もあるかしらと調べてみれば、”青銅比”なるものがあり、さらに続けて、”プラチナ比”、”第2黄金比”があるとのこと。だんだんわからなくなってくる。
仕事・仕事で過ぎた6月が終わり、ひょんなことから知った白銀比。なぜ人間の脳が、黄金比や白銀比が美しいと感じるのか?なぜ、太古の昔から世界中に存在しているのか? 誰が考えたのか?
すぐにやってくる7月の喧騒の前にふらっと、”知の旅”に出てみようか!白銀比を探しに!
2023年7月1日
photo by kishimoto