パワハラは世界共通の課題です~SDGs第8の目標達成のために~

2019年5月29日に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(以下、「労働施策総合推進法」)が衆議院で可決されました。2020年4月に施行される予定です。(大企業のみ、中小企業は2022年4月を予定)
これはいわゆるパワハラ防止法で、我が国で初めてパワーハラスメントについて規定し、事業主にその防止のための措置を講じる義務を課すものです。

一方、所変わってジュネーブでは、

2019年6月10日に開幕した第108回ILO総会 が、21日に2週間の日程を終えて閉幕しました。
今年はILO創立100周年にあたり、この記念すべき年に、「暴力・ハラスメント条約(第190号)」及び同名の付属する勧告(第206号) が採択され、ハラスメントに特化した初めての国際条約として高く評価されています。少しご紹介しますと・・・
新しい国際労働基準では、
「契約上の地位にかかわらず、あらゆる労働者及び従業員を保護することを目指し、これには研修生やインターン、見習い実習生、雇用契約が終了した労働者、ボランティア、求職者、求人広告への応募者なども含む」ものとしています。さらに、「使用者の権限、義務、責任を行使している個人」
も暴力やハラスメントの対象となり得るとしています。

暴力やハラスメントの発生場所に関しては、同基準では
「職場のみならず、労働者がそこに存在することによって支払いを受ける場所や休憩場所、食事休憩を取っている場所、洗浄・衛生設備や更衣設備を用いる場所、出張中や研修中、行事・社交活動中、情報通信技術(ICT)経由の場合を含む、仕事に関連したコミュニケーションの過程、使用者の提供する宿泊設備、通勤中も含む」
と規定し、
「第三者が関連する場合もある」
としています。

皆さんはどうお感じになりましたか?
まず、保護の対象であるとされる「仕事の世界(The World of Work)」が非常に広範囲に定義されていることにお気づきだと思います。
日本は、この条約の採択に賛成はしたものの、「国内法と条約の求めるものの整合性を検討するため」、批准については慎重な姿勢を見せています。ILOの常任理事国である日本が、パワハラ防止法が可決されたばかりという絶好のタイミング(?)に、なぜ批准に慎重なのでしょうか?

それでは成立したばかりの日本の労働施策総合推進法に戻ってみましょう。

第30条の2では、パワハラについて
「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と規定としています。
ILOが規定する「仕事の世界(The World of Work)」と比較して、かなり限定的な範囲を指す印象がありますね。

「職場」の範囲はどこまで?
「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」とは、具体的にどの程度?

今後、国は指針を策定し、パワハラの定義をより明確にするものと思われますが、やはり「条約の求めるもの」を国内法で実現するにはもう少し時間がかかりそうです。
報道されているように、「(条約の批准は)条約の採択に賛成するかどうかということとは次元の違う話」ということなのでしょう。

とはいえ、日本が国際社会に認められ、世界で繁栄していくためには “小さなことからコツコツと”、パワハラ防止法をきっかけに労働環境をさらに改善する姿勢を持ち続けなければなりません!

同法第30条の3では、労働者の責務についても規定されています。
「労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。」

従業員が、笑顔で働きがいのある毎日を過ごせますように
世界の労働者から、日本で働きたい!と言われる国になりますように

職場の皆がこんな気持ちでパワハラ防止に取り組めば、各方面で取組みが始まっている、国連の「SDGs(持続可能な開発目標」 の第8番目の目標 「働きがいも経済背長も」 の達成にも大きく貢献できそうです。

アスカ総合事務所では、法令順守のお手伝いをしながら皆様の事業の健全な発達を目指します。
ハラスメントでお悩みの事業主様、是非一緒に解決策を考えましょう!

アスカ総合事務所 伊藤

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