【相続】配偶者居住権の制度が始まります

平成30年7月に相続法が改正され、平成31年1月以降、段階的に施行されています。

これまでに、自筆証書遺言の方式緩和、遺産分割や遺留分に関する見直しなどが施行されてきましたが、令和2年4月1日より配偶者短期居住権および配偶者居住権の新設にかかる規定が施行されます。

配偶者短期居住権および配偶者居住権は、配偶者の居住を保護するために新設された権利で、名前も似ていますが、権利の内容は全く異なります。

配偶者短期居住権とは、相続開始時(被相続人が亡くなった時)に、被相続人所有の建物に住んでいた配偶者が、相続開始から一定期間、当然に自宅建物に無償で住み続けることができる権利のことです。
一定期間とは、
①配偶者が居住建物の遺産分割に関与するときは、居住建物の帰属が確定する日までの間(ただし最低6ヶ月は保障)
②居住建物が第三者に遺贈された場合や、配偶者が相続放棄した場合には、居住建物の所有者から配偶者居住権の消滅請求を受けてから6ヶ月
よって、配偶者は常に相続開始から最低6ヶ月間は建物に住み続けることができることになります。

これに対し、配偶者居住権は、遺産分割において自宅建物の権利を「負担付所有権」と「配偶者居住権」とに分けて相続することが可能になる制度です。
配偶者居住権を取得した場合には、自宅建物の所有権がなくても、生涯、無償で自宅建物に住み続けることができます(遺産分割協議等で配偶者居住権の期間を定めることも可能です)。
完全な所有権よりも、配偶者居住権の方が評価額が低くなるのが一般的ですので、配偶者居住権を相続した場合の方が、預貯金などの相続財産を多く取得することができることになります。
ただし、配偶者居住権は、遺産分割や遺贈によって配偶者居住権を取得する旨を定めなければならないだけでなく、配偶者居住権の設定を登記する必要があります。

令和2年4月1日以降、相続が開始した場合には、配偶者居住権についてもよく検討してみる必要があるのではないでしょうか。

アスカ総合事務所 青山


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