2021年2月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ 春遠からじ 西の空の雲間に、帰り遅れた早朝の月が冷えびえとした顔で浮かんでいる。満月が過ぎたばかりの月は、誰にも見られることもなく寂しそうな帰り支度である。陽が当たりだすころには、梅のつぼみが、幕前の女優のように、今か今かと頬を膨ら […]
2021年1月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ 陽は曻る 窓を開けると駐車してある車のフロントガラスが凍り付いていた。列島を日本海寒帯気団収束帯という舌を噛みそうな寒波が襲い、極寒の年越しであった。年が明け新しい手帳を開く。いつもは新年会等の予定がいくつも並んでいたが、今年は […]
2020年12月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ 柊の花 道端からは水仙の花が「やっと私の季節よ」と声をかけてくる。水仙の声につられて周りを見渡せば、椿の淡い香りが流れ、石蕗の黄色が風に揺られながらも凛とすまして立っている。山茶花の花びらが、あちらこちらと舞っている。暖かな秋が […]
2020年11月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ 山装う 夏の間は、封印していた近所の山道を歩く。なぜ封印していたのかと言えば、うっそうと樹々が繁った夏場の風の通らない山道は、猛烈な高温になること。加えて、スズメバチ等の活動が活発で危険だからである。 久しぶりの山道は、すっかり […]
2020年10月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ 白蝶草 昼と夜の時間がほぼ同じと言われる秋分の日が過ぎた。夜明けは確実に遅くなっている。そして日の暮れはというと「秋の日のつるべ落とし」と言われるように、あっという間に夜の帳が下りてくる。(“つるべ”と言っても分からない人が増え […]
2020年9月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ 熱い人 背中を水が滴るように汗が流れていく。帽子だけでは足りない。日傘が欲しい。焼けつくような舗道を歩いている。健康維持のため一昨年の春から始めた早朝のウォーキングであるが、早朝にも関わらず気温は30℃を超えている。マスクがさ […]
2020年8月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ Create the Future 様々な出会いがあった。男と男、男と女、人と組織、組織と組織。出会いがあった分、別れもあった。別れがあった分、出会いもあった。突然、脳裏に浮かんでくる。若かりし頃の彼女の残り香。笑っている顔、すましている顔、怒っている顔。 […]
2020年7月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ オッカムの剃刀 夏至はとうに過ぎたのに、しばらく日の入りの時刻は変わらない。雨雲に覆われた空が、日没近くになって、にわかに雲間から光を放つ。美しく息を呑むような夕焼けとは少し違う。家並みは裸電球が照らし出す世界のように、ぼんやりと切なく […]
2020年6月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ 漂流する我 草の匂いがしていた。梅雨が近いのだがその日は晴れていた。そのうえ風が強く砂ぼこりが舞っていた。今日は家庭訪問の日だから、いつもより授業は短縮で終わった。これ幸いにとランドセルを放り出し、友達と野原で遊んでいた。日が暮れる […]
2020年5月1日 / Last updated : 2021年12月6日 岸本 一輝 理事長ブログ Today different from yesterday いつものように散歩に出るが、ひとけが少ない。ちょっとコースを外れてみる。今は静寂に包まれている。振り返ってみても人影はない。遠くに眼をやっても、誰もいないこんな良い天気なのに背中がゾクッとする。 誰かが魔法をかけたのか、 […]