ダイコン


1月往ぬる、2月逃げる、3月去るとは、よく言ったものである。謹賀新年と言っていたら、あっという間に節分である。それにしても1月は、あちらこちらに出掛けたものだ。インフルエンザ多発状況の中で研修会の講師やら新年賀詞交歓会やら大勢の人達が集まる中で、よくも無事に罹患せずに済んだものだと思う。しかし、まだまだ安心はできない。これからが本番である。手洗いうがいをマメにやることが大事である。

今まで以上に、体調にはナーバスになっていることに気付く。そう、若い時と違って、風邪を曳いても治るまでの時間が長引くようになっている。同世代の人達との会話もそんな話が多い。「下り坂に入ったから、降りていく方法を考えたい」だとか「そろそろ終活をしなきゃあ」や「墓じまいをするにはどうすればいい?」などなどである。

何気なくテレビの声が聞こえれば、作家の北方謙三氏が60歳代のころ自動車の運転免許証を返納した話。何故かと言えば、体力が残っているうちに捨てないと捨てられなくなり、しがみついているうちにエネルギーがなくなり、やがて潰えるとのこと。なるほどと思いながら、チャンネルを変える。

プロスキーヤーの三浦雄一郎氏が出ている。今回のアコンカグワは、体調不良で断念したが、90歳でエベレスト登頂に挑むと言う。まだまだやり残したことは多く更なる挑戦を続けたいと仰る。どちらも大御所の言葉だけに重みがあるが、いったいどちらが正解なのか?

わたしはどうすればいいのか?40歳にして惑わずの不惑は、とうの昔のことである。それでも迷う。昨年末、野党の大物代議士から、次の夏の参議院議員選挙に出馬しないかと声を掛けられた。一瞬戸惑いつつも考えた。積年の夢である。
ラストチャンスであろう。受けないことは自分でも分かっていたが、それでも迷った。自分で答えを出さなくてはいけないのに、他人に意見を求めた。一人を除いて全員がNOであった。それから正式にお断りをした。

北方氏や三浦氏のように自分で決められない。そうやって、わたしはいつも他人に意見を求めてやってきたような気がする。だから、人生がそろそろ下り坂の年齢だからと聞いても、まだまだ高見を目指さなければと聞いても、どちらもごもっともと思う。じゃあ自分はどうするの?と聞かれても、答えは出ない。北方氏にしても三浦氏にしても自分の人生という舞台の中で、見事に自分を演じきっている主役なのであろう。

一方、わたしと言えば、一応演じているようにも見えるが、たいした役者ではなく、自分を演じきれないそれこそ“ダイコン”であろう。しかし、こんな寒い日にダイコンと聞けば、“おでん”である。自前の大根を抜いて今夜はおでんで一杯といこう!

平成31年2月1日
アスカ総合事務所
理事長 岸本敏和

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