デジタル化は手段であって、目的ではない



令和元年5月24日に成立したデジタル手続法において、行政のあらゆるサービスを最初から最後までデジタルで完結させるために不可欠なデジタル化3原則(デジタルファースト、ワンスオンリー及びコネクテッド・ワンストップ)が基本原則として明確化され、我が国の行政は大きな転換期にあります。行政の在り方の原則を紙からデジタルに転換することで、単に過去の延長線上で今の行政をデジタル化するのではなく、デジタルを前提とした時代の新たな社会基盤の構築の契機となることが求められているのです。

デジタル社会では、(中略)企業が行う従業員のライフイベントに伴う社会保険・税関係の複数の申請・届出のオンライン・ワンストップ化や、民間クラウドを活用したデータ連携により、行政手続に係る負担を軽減し、生産性の向上に寄与することを目指している。
世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(平成30年6月15日閣議決定)より抜粋

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世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画 用語集

デジタル化という言葉に、嫌悪感を抱く人も多いのではないでしょうか?
紙で行われてきた様々な慣習を「デジタル化すること」をゴールと捉えてしまうと、「ペーパーレスによる環境保全が目的でしょう?」「実体がなく、確実性に欠ける気がする」「セキュリティが心配」といった思いだけがより大きくなるのかもしれません。

最近よく耳にするデジタルトランスフォーメーションという概念は、来るSociety 5.0(超スマート社会) の社会基盤となる概念であり、
狩猟社会(Society 1.0) →農耕社会(Society 2.0) →工業社会(Society 3.0) →情報社会(Society 4.0)
と変化してきた私たちの社会が進むべき未来社会では、少なくとも行政手続きの分野ですっかり当然のこととして定着しているはずの概念です。
デジタル化は、国民生活の利便性を向上し、行政機関や民間事業者等の効率化を実現するための手段であって、それ自体が目的ではないのですね!

「手段」としてのデジタル化は、労働安全衛生法関係の届出、社会保険や雇用保険の手続き、ハローワークの求人票など、これまで紙ベースで行われてきた手続きで、紙ベースの書類の作成支援やオンライン化という形でサービスが拡充されているところです。

来たる Society 5.0で、手段を持たないデジタル難民となることなく、その恩恵を十分に享受するためにも、紙の書類の作成支援から始めてみるなど、身近な届出からデジタル化(?)に挑戦してみてはいかがでしょうか?

労働基準監督署に届出が可能な次の4種類の書面を作成することができます
〇時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)
〇1年単位の変形労働時間制に関する書面
(協定届、労使協定書、労働日等を定めたカレンダー)
https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support_2.html

労働基準監督署への報告書類(安全衛生関係)は、インターネット上で作成できるようになりました
〇総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告
〇定期健康診断結果報告書
〇心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書
〇労働者死傷病報告(休業4日以上)
https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/

ハローワークインターネットサービス
求人申込や内容の変更などが会社のパソコンからできるようになります
(令和2年1月6日~)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06574.html

令和2年4月から、無料で取得可能なID ・パスワード(GビズⅠD)で、
電子証明書がなくても電子申請が可能になります(社会保険・雇用保険)
https://www.mhlw.go.jp/content/000561645.pdf

アスカ総合事務所 伊藤

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