2024年1月「良識」

 ぽつりと小学校5年生の男の子が言った。「AIが発達すると職業が少なくなるんだよ。

職業が少なくなるから、今から考えておかないといけないよね」

学校で習ったのか?と聞くと、「学校じゃない。TVでやっていた!」

 仕事がなくても皆が幸福に暮らしていける社会になればいいけど、それを目指していくのが政治じゃないかな。と言うと「政治家は噓つきだからね」と答えた。

返す言葉も見つからない。子供ながらにキックバックのことを知っている。

 昨年末から指摘されている「政治資金キックバック問題」、これは明確な「政治資金規正法違反」であり、法の制約を逸脱している行為である。国のために尽力するべき政治家が、法を犯してしまうことは、市民にとって大きな信頼の喪失をまねくものである。

 多くの企業は、収入の一円でも見落とさずに売上計上し、法人税を支払い国に貢献している。企業は社会の一員として、公正かつ誠実な事業活動を通して社会に貢献することが、わが国の発展につながり、未来の世代に健全な社会を築く礎になると私は思っている。

今回の出来事は、政治資金規正法違反だけではない。キックバックだろうが何だろうが入ったお金は所得税法により雑所得になると思う。それを申告していないのなら所得税法違反ではないかと思う。

 国会議員は、就任すると同時に日本国憲法と公職選挙法に基づき「憲法と法に忠実であり、真実を尊重し、秘密を厳守することを誓約している。」これは、議員が公職を遂行するうえでの基本的な原則を表している。

 また良識という言葉がある。国の政を司る人には、絶対に持っていてもらいたいものだと思う。市井の中で一生懸命働いている国民の多くがこの良識を持っている国が日本であると私は信じている。政治家は国民に信頼され、模範となるべき存在にもかかわらず、法を犯し、社会的な倫理観を逸脱し、子供たちにとっては模範とすべき存在ではなくなっている。

子供達には、これらの問題をどのように説明するべきかが重要である。彼らには社会の一員としての責任を理解させ、正しい価値観を育むために、教育が欠かせない。政治家だけでなく国民が、企業が、良識に基づいた行動をとることで子供たちは、雲間から光が輝くように未来に希望を持つのではないかと思う。

 最後に「清政人和」(せいせいじんわ)の言葉をご紹介しておく。意味は、”政ごと清ければ、人おのずから和す」この言葉は中国の「晋書」という書物からの引用だそうだが、清和政策研究会の命名の由来である。自分自身にも言い聞かせるが「初心忘るべからず」である。

2024年1月1日

photo by kishimoto