2026年10月『唯一無二の存在』
秋の夜長にふと、今日生きている私にはいったい何人のご先祖様がいるのだろうかと考え、数え始めてみたのである。人の世代を四十年と仮定すると、十世代遡れば1,024人になる。ここまではまだ想像が及ぶ。しかし二十世代ではどうなるのかと計算を進めたところ、膨大な人数になることが予想されたため、生成AIに尋ねてみた。答えは1,485,760人であった。数字の大きさに驚くと同時に、これほど多くの人々が連なって今の私につながっている事実に、しばし言葉を失った。
一世代を四十年とすれば、148万余の最初の何組は約八百年前、すなわち鎌倉時代に出会った男女である。彼ら彼女らが私のルーツの起点であると考えると、歴史というものが急に身近に感じられる。さらに遡って大化の改新のころまで計算しようとしたが、AIから複数の推計が示され、私自身の頭がコンフューズしてしまったため、この作業は打ち切った。人の営みとは、数字に置き換えられる部分と、到底置き換えられない部分があるのだと改めて思い知らされたのである。
今月は私の誕生月でもある。だからこそ、こうした思いに耽ったのかもしれない。一足早く、先月末に仲間たちがバースデイパーティーを開いてくれた。彼らは皆、業種こそ異なるが経営者であり、それぞれが悩みや課題を抱えながら日々を生きている。私にできることは、少し長く生きてきた者として、役に立つかどうかもわからない助言を述べる程度である。しかし、彼らと語り合うたびに思うことがある。みんな同じようなことで悩んでいるが、誰一人として同じ人間は存在せず、皆が唯一無二の存在であるということである。
人はしばしば、正解を求めて迷い、答えを外部に探しに行く。しかし、本来の答えは自分の内側にしかない。AIに頼るなと言うつもりはないが、少なくとも「自分の頭で考えることを放棄してはならない。間違ってもよいし、失敗してもよい。むしろ、間違いや失敗の中にこそ、その人だけが持つ熱情が宿る。湧き上がる思いを大切にし、自らの歩幅で進むことこそが、唯一無二の存在として生きる道である」この言葉を、パーティーを開いてくれた彼らへのお礼としたい。
秋の夜長にご先祖様の数を数えたことは、単なる好奇心からではあったが、私自身がどこから来て、どこへ向かうのかを考える時間となった。数百万の人々の営みの果てに、今の私がいる。その事実を胸に刻みながら、唯一無二の存在として枯れぬ熱情を抱いて歩んでいきたいと思う。
2026年10月1日

photo by kishimoto

