薫風の空の下

街路にツツジが咲き誇っている。紅白の色が鮮やかである。薫風に誘われてといえば五月の感があるが、この頃は五分も歩けば汗ばんでくる季節である。この時期で気温は既に夏日となっている。

つい先日までコートが手放せなかったのに、気が付けばクールビズが始まる。薫風の季節は短く、また暑い季節が近づいてくる。子供の頃は、季節の移ろいがゆっくり進んでいたような気がする。
四季折々の歳時記を子供心にも感じたものである。

昔と比べて、今日この頃は季節感が変わってきている。寒いか暑いかの境目がある日突然やってくる。冬のストーブを仕舞いながら、夏の扇風機を取り出すことがここ数年続いている。日本は四季の変化に恵まれてという表現は、死語に近くなっているのではないだろうか。

しかし、やはり五月である。繁華街の通りで大凧の糸目付けを見掛けると、“ああ五月だなあ”と思う。 私の住む街浜松は、五月と云えば浜松祭りである。昼間は大凧が天空を舞う凧揚げ合戦。夕闇が訪れてからは、絢爛な御殿屋台の引き回し。

浜松の五月は、この祭りが初夏への境目である。

特に、祭りのハイライトでもある凧揚げ合戦の主役である大凧。その糸目付けは、各町内によって独特のものであり、よく凧が揚がるように企業秘密ならぬ町内秘密である。ただし、仲の良い町内同士で共通の糸目を持っているところもあるらしい。いわゆる秘密情報の共有である。

そこで、頭をよぎるものが通称“ファイブアイズ”である。イギリス・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの5か国で秘密情報の相互利用・共同利用するための協定のことである。
中国通信機器大手のファーウェイ製の通信網向け機器について、セキュリティー上の懸念を理由に”ファイブアイズ”が各国の第5世代移動通信システム(略称5G)から排除する方針を表明した。

薫風の爽やかな様子を書こうと思って本稿を書いていたが、5Gが出てきて私の頭の中は、今注目されるキーワードが次から次へと浮かんでしまった。

いわく、Society5.0・ブロックチェーン・デジタルトランスフォーメーション(DX)・スマートシティ・FIT・フィンテック・デジタルマネー・イノベートファイナンス・クリーンコール・ICTコンソーシアム等々すべて電子情報社会を構成していくものである。

過去にもこんな新造語にはいくつも出会ってきた。その都度ごとに意味を理解し過ごしてきた。しかし、今飛び出てくるキーワードは、難しい。何となくは分かるものの、完全にはイメージができない。それは、本当に社会構造の大転換を意味しているのだろうと思う。今までは、想像ができていたものが、想像できない。それだけ社会・経済・産業の大転換が起きているのであろう。

いろいろな言葉の意味が錯綜して眩暈を感じるが、この大転換の時代に生きていることをラッキーだと思う。この潮流の“潮目“をウォッチングすることができることを感謝したいと思う。パラダイムシフトがどう変化していくのか興味深い。あらゆる産業が転換をしていく時代。どう変わっていくのか。

人生の半数近くを生きた平成が終わり、この大凧舞う薫風の空の下に令和になるという.
弛まない糸目の大凧のように悠々と平和が続く時代になることを願う。

令和元年5月1日

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