外国人技能実習制度


日本の高齢化が進み、労働人口が年々減ってきています。こうした状況を背景として、製造業を中心として「出入国管理及び難民認定法」(略して「入管法」といいます。)によって規定されていた在留資格「技能実習」による入国者が年々増えています。

しかしながら、技能実習生の人権侵害や劣悪な労働条件により失踪してしまう技能実習生も少なくありません。
平成28年11月に公布された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(略して「技能実習法」といいます。)により、技能実習制度が大きく変わりました。

新たな技能実習制度のポイントは以下のとおりです。

1.外国人技能実習機構の創設
技能実習制度は、日本に入国してくる外国人を管轄する法務省と労働問題を管轄する厚生労働省の2つの省庁を所管としています。
技能実習法に基づき外国人技能実習機 (以下、「機構といいます。」)が設立され、この機構が、技能実習制度の適正な実施に関する業務を行うことになりました。

2.技能実習計画の認定制
技能実習を行わせようとする者(実習実施者)は、技能実習計画を作成し、認定をうけ なければなりません。

3. 実習実施者の届出制
技能実習を行わせようとする者は、技能実習を開始したときに届出をしなければなりません。

4.監理団体の許可制
技能実習生の監理事業を行う監理団体は、法務省及び厚生労働省の許可を受けなければなりません。
また、監理団体としてみたさなければならない要件が規定されました。
許可を受けても、許可の基準を満たさなくなった場合は、監理事業の許可の停止や取消が行われることになります。

5.技能実習生の保護
技能実習生の保護のため、技能実習の強制や違約金設定、在留カードや旅券の保管などに対する禁止規定が法律に定められました。
これに違反した場合は罰則もあります。

6.二国間取り決めに基づく送出し機関の認定
監理団体からの求職の申し込み取り次ぐ機関を「外国の送出し機関」と定義つけられました。
技能実習の選抜には、外国の送出し機関が重要な役目を担っていますが、技能実習生から保証金を徴収したりする送り出し機関が後をたたないため、日本と送り出し国との間で取り決めがなされ、原則、送り出し国政府が認定した機関しか送り出しが認められなくなりました。
中国などは二国間協定を締結していないため、現時点ではどの送り出し機関からも送り出しが可能です。

今年の春から、入管法の改正に伴い「特定技能」という在留資格も創設されています。ますます、外国人労働者が増えてくることでしょう。

適切な組合を通じて、外国人を雇用するように気を付けてください。

アスカ総合事務所 武知

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